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労働法研究者・弁護士・草の民のこたつの中の人です。
ふつうの企業で働いた経験もあるので、働く人の目線に立った解説や、企業経営にとってタメになる記事も書いています。
巷にある労働関係の記事とはちょっと違った内容をお楽しみいただけると嬉しいです。
さて、この記事では、残業とは何なのか?について解説していきます。
残業の意味を正確に理解している人は多くはないと思います。
残業という馴染みのある言葉は、実はそれぐらい複雑なのです。
知らなくても残業は残業なのですが、仕組みを知らないと自分の残業がどのように扱われているのかを確認することもできません。
残業に少しでも興味がある方は、ぜひ最後までお読みください!
こんな人に読んでほしい
・自分の残業代が正しく支払われているか気になる
・何となく残業している
・できれば残業したくない
・社内(自部署)の残業が増えている
・残業時間のカウント方法を知りたい
などなど
※記事を更新した時点での一般的な内容・知見に基づいており、閲覧された時点によっては情報が古くなっている可能性があります。また、具体的な事情や状況も一人一人異なります。そのため、この記事は勉強や参考としてご覧いただき、実際に行動を起こされる際には弁護士等に具体的にご相談ください。
※この記事の内容は、著者個人の見解であり、著者が所属する(あるいは過去に所属していた)機関とは無関係です。
残業には種類がある
いきなりですが、
残業には「会社独自のもの」と「法律で決まっているもの」の2種類ある
ということをご存知でしょうか?
一般的には、始業時刻前に出勤して働くことを「早出残業」と呼んで別扱いしているような気もしますが、法律的には実はほとんど関係ありません。
ここまでですでに、世間で言われている残業とは違ったイメージを抱くのではないでしょうか。
会社独自の残業と法律上の残業
残業には2種類あるとか言ってわざわざ分けるのは、その2種類のどちらになるかによって扱いが違うからです。
どのような違いがあるかは後で説明するとして、まずは、2種類それぞれの
法律上の残業(時間外労働)
まず、法律上の残業の話をします。
法律上の残業は「時間外労働」と呼ばれます。
労働基準法という法律によって、1日8時間・1週間40時間が実際に働く時間の上限と決められています。
※原則の上限なので、これ以外の例外ルールを会社が採用している場合もあります。
この上限をオーバーすることは基本的にNGなのですが、労働基準法には、例外的にオーバーしてもいいケースが決められています。
そのひとつが、「36協定」を作って労働基準監督署という公的機関に届け出るというものです。
※「36協定」にも色々と法律の決まりがありますが、とりあえず、上限をオーバーする際のルールについて従業員の代表と取り決めた書面とイメージしておいてください。
何にせよ、1日8時間・1週間40時間という上限を超えて働くこともできるということです。
そして、この上限を超えて働くことこそ「時間外労働」なのです。
とりあえず、1日8時間または1週間40時間を超えて働いたら時間外労働(法律上の残業)だと捉えておいてください。
①9時〜18時(休憩12時〜13時)までだけど、9時〜19時まで働いた(実働9時間なので、1時間の時間外労働)
②9時〜18時(休憩12時〜13時)までだけど、8時〜18時まで働いた(実働9時間なので、1時間の時間外労働)
この例を見ると、「あ、残業だ」と思ってもらえるのではないでしょうか。
会社独自の残業
法律上の残業は、1日8時間・1週間40時間という法律の決まりをベースに、それを超えるかどうかで判断していました。
それとは別に、次のようなケースでも一般的には残業と呼んでいると思います。
③9時〜17時(休憩12時〜13時)までだけど、9時〜18時まで働いた(実働8時間)
④9時〜17時(休憩12時〜13時)までだけど、8時〜17時まで働いた(実働8時間)
時間外労働のところで出てきた例①・②と比べると、例③・④はそもそも定時が17時終わりになっています。
つまり、そもそも1日の実働が7時間と決まっているということです。
そうすると、1時間多く働いたとしても、実働が8時間を超えません。
※「8時間を超える」ということは、8時間ぴったりは含まないということです。8時間を過ぎないと「超えた」ことにならないのです。
実働が8時間を超えないのであれば、時間外労働にはなりませんね。
でも、定時を過ぎて働いたり、定時前から働いたりすると「残業」って呼びますよね?
これは、会社が決めている定時を過ぎた、言い換えれば、社内ルール的な時間オーバーということです。
「所定外残業」とか「法定内残業」とかいう言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それです。
1日の実働が8時間の場合には結果的に時間外労働と同じになりますが、例③・④のように、実働が8時間より短い場合には違った結果になるということです。
初見では理解できない残業のルールその1|残業したのに残業代が出ない!?
2種類説明してきましたが、どっちだろうが何も変わらないのであれば、わざわざ分ける必要はありません。
この2種類には法律的に色々違う部分があるから分けたのですが、残業する人にとって一番大事であろう残業代にも違いがあります。
時間外労働の場合:残業代の額は、基本的に通常時の時間単価の1.25倍の額
会社独自の残業の場合:残業代の額は会社のルール次第(一般的には通常時と同じ)
時間外労働(法律上の残業)をした場合、いくらの残業代がもらえるかも法律でルールが決まっています。
法律的には「割増賃金」という言い方をします。
細かい計算方法はありますが、時間外労働に対して支払われる割増賃金は、普段(残業していないとき)の時間単価の1.25倍が最低ラインです。
最低ラインなので、会社によってはそれより高い倍率となっていることもあります。
例えば、時給1200円で働いている場合、時間外労働1時間につき1500円もらえます。
①・②の例だと、1時間の時間外労働ですね。
しかし、1日8時間や1週40時間を超えておらず、定時を超えたというだけではこの割増賃金のルールは当てはまりません。
じゃあどう決まるか。
定時を超えただけの会社独自の残業の場合、残業代をいくら支払うかも会社が独自に決めます。
例えば、③・④の例で時給1200円だとすると、1時間の残業に対しても1200円しか支払われない可能性があります。
というか、通常時と同じ金額しか支払わないルールにしている会社が多いと思います。
それでも1日7時間のところ8時間分の給料が支払われるので、残業代は支払われていると言ってもいいと思いますが…法律上の残業代(割増賃金)のような追加はないということです。
残業代のルールが2つあるので、残業代がちゃんと払われているかどうかを確認するためには、2種類の残業のうちどっちを何時間やったのかを確認しなければならないのです。
ややこしい!!
初見では理解できない残業のルールその2|休日出勤なのに残業扱い!?
もうひとつややこしいことを。
時間外労働(法律上の残業)は、1日8時間を超えた場合のほかに、1週間で40時間を超えた場合も当てはまります。
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
| 休 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 2時間 |
こんな1週間があったとします。
普段は土日が休みなのに、この週は土曜日に休日出勤しなきゃいけなかったんですね。
この場合、月〜金曜の勤務ですでに40時間働いています。
そのため、土曜日に働いた分は40時間を超えた時間外労働ということになります。
一般的には休日出勤と呼ばれていると思いますが、法律的には時間外労働というややこしさ。
つまり、残業代がちゃんと支払われているかの確認は毎日何時間働いたかだけ見ていてもダメなんです。
1週間もあわせてみないと。
ややこしやー。
実際にトラブルになれば弁護士に相談して解決してほしいのですが、仕組みをある程度知っていないと、
あれ?おかしくない?
と気付くことも難しくなってしまいます。
この記事がその参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!


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