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労働法研究者・弁護士・草の民のこたつの中の人です。
「珍しい知恵が新しいワークキャリアのきっかけになる」をモットーに、働く人・雇う人に向けた記事を発信しています。
ふつうの企業でヒラ&管理職として働いた経験もあり、働く人の目線×企業経営の視点×専門・先端の知見を使って書いているので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
この記事では、一般の個人をお客さんとするいわゆるBtoCのビジネスに携わる方向けに、消費者契約法の基本を解説しています。
特に、現場の営業マンの方に、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
「契約とか、法律とか、それは内勤の人の仕事では…?」と思われるかもしれませんが、現場でしゃべった一言が、その後の契約キャンセルに結びつくかもしれないのです。
できるだけ簡略化してすぐ読めるようにしておりますので、さらっと覗いてみてください。
※記事を更新した時点での一般的な内容・知見に基づいており、閲覧された時点によっては情報が古くなっている可能性があります。また、具体的な事情や状況も一人一人異なります。そのため、この記事は勉強や参考としてご覧いただき、実際に行動を起こされる際には弁護士等に具体的にご相談ください。
※この記事の内容は、著者個人の見解であり、著者が所属する(あるいは過去に所属していた)機関とは無関係です。
消費者契約法は消費者保護のための法律
ネーミングから当たり前のことですが、
消費者契約法という法律は、消費者を守るための法律
です。
でも、「消費者」とはどういう人のことでしょう?
消費者契約法では、
消費者=個人(個人事業主がその事業のための契約する場合を除く)
※個人事業主と書きましたが、わかりやすさ優先のイメージです。税務署に開業届を出しているかどうかや、事業でいくら稼いでいるかといった点は関係ありません。
という決まりです。
個人であれば消費者なのですが、その人が個人で何か事業をやっていることもありますよね?
例えば、フリーランスの方がパソコンを買うとします。
家で使う趣味用のパソコンを買う可能性と仕事用のパソコンを買う可能性の両方がありますよね?
この場合、家で使う趣味用のパソコンを買うのであれば消費者契約法の適用があり、仕事用のバソコンなら消費者契約法の適用がない、という分け方がされます。
次に、消費者は誰から守られるのでしょう?
消費者は事業者から守られる
というのが消費者契約法の建て付けです。
法人であれば事業者ですし、個人でも、事業のために契約する場合には事業者です。
※ちなみに、会社は法人です。
つまり、事業者と消費者が契約する場合に、消費者契約法の適用があるということです。
どんな商品・サービスを売っているか、金額はいくらかといった点は関係ありません。
BtoCのビジネスであれば適用があると理解してください。
消費者を守る仕組み|契約キャンセルが広く可能
消費者契約法が消費者を守るために用意している仕組みは、主に次の3つです。
①契約のキャンセルを認める
②消費者にとって不当・不利益な契約内容を無効にする
③事業者に一定の(努力)義務を課す(主に、消費者に対する情報提供)
このうち、②や③は現場の従業員が気にすることというよりは、まずは会社が仕組みやツールを整えることで対応すべきでしょう。
例えば、契約書や規約の作成を弁護士に依頼して適法なものを作成してもらう、商品やサービスをわかりやすく・十分に伝えるためのパンフレットや資料を用意する、などです。
しかし、①については、事前の準備だけではなんとも言えない問題があります。
消費者と実際にやり取りした内容や言動によって、キャンセルされるかどうか決まる
ことがあるからです。
つまり、実際に営業を行う従業員が、相手の消費者とどういったやり取りを行ったのかが重要なのです。
これが、営業マンでも消費者契約法の概要を理解しておくべき理由です。
自分が担当した契約があとからなかったことにされる(キャンセルされる)と、会社としては対応に追われますし、消費者トラブルとして悪い印象が広まる可能性もあります。
現場の従業員の意識と行動が非常に重要になってきているのです。
契約のキャンセルが認められる例
とはいえ、消費者契約法でも契約のキャンセルがいつでもできるわけではありません。
消費者が契約をキャンセルできる条件は決まっています。
この記事では詳細を解説できませんが、キャンセルされる可能性がある例をいくつか挙げておきます。
※これらの事例で必ず契約のキャンセルができるというわけではありません。個別の事情によります。
①事務所で契約の話をしていると、相手の消費者が「もう時間がないので帰ります」と言ったが、その場に引き留めて契約の話を続けた。その結果、成約につながった。
②来店してくれた消費者に対し、高品質なイタリア製の革を使用した靴だと説明して購入を勧めた。結果、購入に至ったが、その靴は実際には中国製のさほど質の高くない革を使用したものだった。
③エステの無料体験に来た大学生に本契約を勧めた。大学生は迷っており、「親に相談して決めたいので、連絡したい」と言ったが、「他の人は学生でも自分で決めている」と連絡をしないで決めるよう促した。その結果、契約に至った。
このように書くと、「それはよくない売り方だ」と思われる方も多いと思います。
ただ、実際には、ここに至るまでの脈絡があり、「話の流れでそれっぽいことを言ってしまった」「嘘をついたわけではなく、勘違いで間違った情報を伝えてしまった」ということも起こります。
それらがすべて「違法あるいは不当な売り方」だとされるわけではもちろんありません。
商品やサービスの良さや、商品・サービスを使うことで生まれる相手にとってのメリットや喜びを、しっかり伝えたいという熱意もあると思います。
もちろん、商品・サービスを買ってもらって自分の営業成績や会社の業績に貢献したい、という気持ちも否定されるべきではありません。
だからこそ、「消費者と向き合うときには、自分の言動に注意する」という心がけが重要だと思います。
その助けになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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