「育児休業の分割取得」を5分で確認…1歳までなら2回取れます!労働法専門弁護士の解説

この記事では、2022年10月1日からスタートした新しい育児休業の取り方

「育児休業の分割取得」(育児休業が2回取れる)

について解説します。

目次

育休のキホン

育児休業は1歳になるまで(取得期間)

育児休業は、基本的に、子どもが1歳になるまで取ることができます。
2歳まで取れるのでは…?と思ったあなたはすごい!
1歳の時点・1歳半の時点で、「希望しているのに保育所に入れない!」みたいな事情があれば、それぞれ1歳半・2歳まで取ることができます。

育児休業は会社に申し出なければはじまらない

子どもが産まれても、自動的に育児休業に入るわけではありません。
基本的には、「この日から育児休業を取りたい」という日の1か月前までに、会社に申し出る必要があります。
ただ、女性であれば妊娠を会社に伝えるときに手続を教えてもらい、会社の用意した書面を使って申請することが一般的です(そうしていない会社は、ぜひそういう扱いにしてみてください)。

育児休業の分割取得(育休を2回取る)

さて、育児休業は会社に申請しないと取れないわけですが、そのときには、「育児休業の開始日と終了日」を伝えなければなりません。つまり、育児休業は、申請時点で「いつからいつまで取るか」を決めないといけないのです。

女性(お母さん)の場合は「出産予定日から1年間」というのが多いとは思いますが、もっと早く、例えば3か月や半年で復帰することもありますよね。
また、男性(お父さん)だと、1週間とか短い期間しか取らないことも多いです。

どれぐらいの期間育児休業を取るのがいいか、人それぞれ、家族それぞれ違います。
状況や考えに応じて、「いつからいつまで取るかを自分で決める」ということです。

ただし、申請時点で決めなければならず、しかも、今まで(2022年9月30日以前)は、原則1回しか取ることができませんでした。
最初に申請した期間が終われば、よほどのことがない限り、もう1回取りたいと思っても無理だったのです。
※終わる前に、期間を延長するということは従来からできます。

このルールが変わり、2022年10月1日からは、育児休業を2回取得することができるようになりました(分割取得)。
理由は不要ですし、最初の申請時に2回分まとめて申請する必要もありません
一度育児休業に入った後で、「やっぱりもう1回取りたい」ということができるというわけです。

例えば、出産後半年育児休業を取得していったん復帰し、その後、1歳直前の1か月にまた育児休業を取得するということも可能です。

ただし、分割して取ることができるのは、1歳になるまでの育児休業です。
1歳半や2歳までの場合は今まで通り1回限りですので注意してください。

なんのための改正か?(おまけ)

制度としてはこんな感じで、単純と言えば単純です。
ただ、雇う側も働く側も知っておいて欲しいのは、「この改正はなんのためなのか?」という点です。

育児休業が1回しか取れないと、「何があるかわからないから、とりあえず上限まで取る」という心理となり、休業期間がなんとなく長くなりがちです。
私にも子どもがいますが、1歳になるまでは病気も多くしましたし、子育てにも慣れてないしで、「仕事をバリバリこなす」というのはかなり難しいと感じました。

日本では育児休業を取得するのは圧倒的にお母さんなのが実情です。
そうすると、女性ばかりが長いブランクを経験することになり、結果として、その後のワークキャリアに支障が出てしまったりします。しわ寄せが女性にばかり向いてしまうんですね。

また、「お母さんとお父さんで交代に育児休業を取る」ということもやりにくくなります。
例えば、男性の育児休業にとても寛容な会社に夫婦で勤めていたとしましょう。
男性も育児休業を取れるので、夫婦ともどもキャリアをあまり中断させないように、お母さんが半年で復帰して、その後はお父さんに育児を交代したいと考えているとします。
このケースでは育児休業を取得することに支障がないように見えます。
しかし、1回しか取れないとなると、「自分、あるいは夫の子育てがうまくいかなかったらどうしよう」「夫の仕事の都合が変わってしまったらどうしよう」と思ってしまうと、それが大きな心理的ハードルになります。
結局、「何があるかわからないから、とりあえず上限まで取る」ということになりがちです。

育児休業に寛容な会社でもこういったことがありうるわけで、1回しか取れないというのは男性の育児休業を流行らせるのに向かない、という判断です。
分割取得は、「男性も積極的に育児休業を活用して」というメッセージということです。

正直、それで流行るか…?とは思いますが、1回より2回の方が取りやすいのは…まぁ、そうかなと。

企業は育休の分割取得にどう捉える?(おまけ)

改正目的からして、今回の改正は完全に育児休業を取得する従業員のためのものです。
会社に直接のメリットはなく、対応を変えなければならない手間だけかかる、といったところでしょうか。

ただ、社内を見渡して、「家族のための働いている男性従業員」はいませんか?
よく聞くセリフですが、それが本当だとすると、その人にとって家族と過ごす時間は仕事へのモチベーションとなっているはずです。

また、育児休業に限らず、賃金など金銭以外の福利厚生は従業員の会社に対するコミットメントを高めるという考え方があります。
平たく言えば、「育休取らせてもらったし、この会社いい会社だな」と思うということです。
この感情が従業員の努力を引き出し、特に優秀な従業員にほど効果的という見解もあるようです。

理想論かもしれませんが、男性従業員の育児休業取得をポジティブに捉えることでWin-Winの関係が築けるなら、そんな素晴らしいことはないとも思うのです。

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こたつの中の人
弁護士です。労働法研究者(博士号持ち・大学に在籍中)でもあります。コンサルティング会社に社内弁護士として勤務したこともあり、企業の人事・労務に関する相談を2000件以上受けてきました。企業の気持ちを理解しつつ確かな理論を示して、会社の「雇う力」と働く人の「満足」を追求する「Quality of Work」向上を支援しています。
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