バイトにこそ重要な「サイチン」を知っていますか?10月にチェック|最低賃金を弁護士が解説

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労働法研究者・弁護士のこたつの中の人です。

働く人・雇う人に向けた記事を発信しています。
ふつうの企業でヒラ&管理職として働いた経験もあり、働く人の目線×企業経営の視点×専門・先端の知見を使って書いているので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

この記事では、最低賃金、通称「最賃(サイチン)」について解説しています。
毎年夏から秋にかけてニュースになるのですが、耳にしたことはありますか?

アルバイトやパートで働く方(働こうと思っている方)には特に大事なので、チェックしてみてください!

※記事を更新した時点での一般的な内容・知見に基づいており、閲覧された時点によっては情報が古くなっている可能性があります。また、具体的な事情や状況も一人一人異なります。そのため、この記事は勉強や参考としてご覧いただき、実際に行動を起こされる際には弁護士等に具体的にご相談ください。
※この記事の内容は、著者個人の見解であり、著者が所属する(あるいは過去に所属していた)機関とは無関係です。

目次

最低賃金(サイチン)とは?

最低賃金は、

人を雇うときに支払わなければならない最低の賃金額

のことです。

要するに、「その額より低い額では雇えない」ということですね。

最低賃金より低い金額で雇っても、その賃金額は無効

です。

そして、

最低賃金より低い金額で雇ったとしても、賃金額は最低賃金になる

わけです。

これが最低賃金の基本的な仕組みです。

最低賃金より低い場合はどうすればいいの?
というご質問には最後にお答えします。

最低賃金は時間単位(時給)で都道府県ごと

最低賃金は時間単位で金額が指定

されています。

また、基本的には、

都道府県ごとに金額が指定

されることになっています。

試しに、東京都・大阪府・徳島県を見てみましょう(2023年9月のもの)

  • 東京都:1,072円
  • 大阪府:1,023円
  • 徳島県:855円

このように、基本的には「都会っぽいほど高い」のが最低賃金の特徴です。
その地域の物価などを参考にして決められるからですね。

ちなみに、サイチン関連のニュースなどでは、よく「全国平均1,000円」みたいな言葉が出てきます。
これは、高いところも低いところも都道府県によってあるけど、平均したら1,000円という意味です。
最低賃金はあくまで自分が働いている都道府県によって決まるので、注意してください。

サイチンは10月を見逃すな

最低賃金は基本的に毎年金額が変わります。
物価や経済情勢を反映するためです。

制度的には下がることもあり得るわけですが、基本的には据え置きか上がるかどっちかです。
特にここ10年ぐらいは、コロナ禍で据え置かれた年もありましたが、上がり続けています。
20円から30円ぐらい、毎年上がっているんです。

あとで計算してみますが、時給が数十円上がると、月の賃金額としては結構増えます。

また、最低賃金の変更は、だいたい

毎年10月1日

からスタートします。

今まで最低賃金で働いていた人にとっては、

自動的に給与が上がるタイミング

ですので、見逃さないようにしてください。

特に、2023年10月の上げ幅はすさまじく、さっき見た都府県はこうなります。

2023年9月まで2023年10月から上昇額
東京都1,072円1,113円41円
大阪府1,023円1,064円41円
徳島県855円896円41円
上昇額が揃っているのは一応偶然ですが、全国的な目安に沿って各都道府県が決めているという事情もあります。

時給が41円上がると、月の賃金額はこれぐらい変わります。

1か月に働く時間増える賃金額(1か月)
月40時間働く
(例えば、1日3時間・週3日勤務ぐらい)
40時間×41円=1,640円
月75時間働く
(例えば、1日4時間・週4日勤務ぐらい)
75時間×41円=3,075円
月100時間働く
(例えば、1日5時間・週5日勤務ぐらい)
100時間×41円=4,100円

何もせず、自動的にこれぐらい1か月の賃金が増えるわけです。
※手取り額がどれだけ増えるかは、状況によります

今、最低賃金で働いている方は、10月から賃金額が変わっていることを、しっかり確認しましょう。

最低賃金で注意すべき人

最低賃金はその名の通り賃金額の一番下(下限)を決めるものなので、最低賃金以上の賃金額となっていれば問題ありません。

「時給○○円」という決まりで働いている方(時給制)は、その時給額と最低賃金とを比べてください。
また、求人を探す際にも、一応、チェックしてみるといいと思います。
※時給制ではない人の場合、ちょっとした計算が必要なので、別の記事で解説します。

最低賃金やそれに近い金額で働く場合、アルバイトやパートということが多いと思います。
最低賃金がずーっと上がり続けてきたことで、アルバイトやパートの時給額を最低賃金ぴったりに設定する、というケースも多くなっています。
このケースの場合、法律的には、毎年10月に賃金が上がるはずなので、注意して確認すべきです。

加えて、2023年10月の上がり幅を踏まえると、最低賃金より高めの金額で働いてきた場合も注意すべきです。
41円も上がるとなると、最低賃金からそれなりに離れた時給額でも、上がった後の最低賃金を下回る可能性があります。

深夜に働いている場合も注意です。

深夜(22時〜翌朝5時)に働くとき、時給額を1.25倍にしなければなりません。
でも、深夜のアルバイトなんかでは、「深夜に働いたらいくらの時給なのか」しか示されていないことが多い気がします。
1.25する前の時給は書いてくれてないんですよね…。

例えば、東京都の場合、2023年10月からの最低賃金は1,113円です。
深夜はこれの1.25倍なので、約1,392円(1円未満切り上げ)。
きっと、深夜バイトの求人にはこの金額が書かれていることでしょう。
反対に言えば、深夜なのに1,392円を下回っている場合、最低賃金に違反している可能性が高いです。

深夜に働いている方やこれから働こうと思っている方は、その時給額が、

働く都道府県の最低賃金×1.25以上になっているかどうか

を確認しましょう。
「なんか深夜って時給高いよね」だけで安心してはいけません。

最低賃金をクリアしているか確認する方法とトラブル対応

最後に、最低賃金をクリアしているか、何を見て確認すればいいかをお話しします。
自分の時給をどうやって確認すればいいか、ですね。

・仕事を探すとき
 求人条件に書いてある時給額
・仕事を始めるとき
 渡される雇用契約書や労働条件通知書に書いてある時給額
・仕事を始めてしばらく経ったとき
 給与明細から逆算

ポイントは、働き始めたあと最低賃金が変わることで時給額が上がる場合でも、「そのことを教えてくれないことが多い」ということです。
中には、最低賃金が変わって時給が上がったら、新しく契約書や通知書を作り直す会社もあります。
でも、そういうことはあまり多くなくて、しれっと上がってることが多いと思います。

給与明細を確認して、今までよりも増えているか確認しましょう。
※もちろん、働く時間が長くなったから月の給与額が増えているということもあります。
 「働いた時間の割に増えている」かどうかを確認しましょう。

では、上がるはずなのに上がっていない場合、どうすればいいか。
これは実はわりとあることです。

「会社がわざと上げていない」というよりは、

「最低賃金が上がっていることを忘れている」「最低賃金が上がったことに気付いていない」

パターンかなと。

このパターンは会社のしかるべきところ(これは会社によって、状況によって違う)に相談すれば上がることが多いです。

ただ、実際には相談しにくいかもしれません。
忘れている・気付いていないパターンかもわからないし、そうだとしても、指摘するみたいで気が引けるかもしれません。

そういうときは、例えば、誰かベテランさんに「去年は上がったか」聞いてみてからにするとか、いろんな指摘をする人に相談してみるとか、工夫が必要かもしれません。

「そこまでして…」と思うかもしれませんが、なんとかして会社に気付いてもらいたいというのが私の考えです。
その理由はふたつ。

①最低賃金の上がり幅が大きいこと
②最低賃金の違反は放っておくと会社にとってもダメージが大きいこと

①は上の方で説明した通りです。

②ですが、最低賃金の違反はいつか誰かに指摘される可能性が高い違反です。

例えば、①があるがゆえに、アルバイトの誰かが辞めるときに不足分を請求されたり、労働基準監督署に相談に行ったりといった可能性があります。
また、労働基準監督署は定期的に会社に違反がないか調査をしていますが、この調査に当たってしまえば間違いなく指摘され、是正を求められるでしょう。

そうなると、会社は、今まで違反してきた分をまとめて支払うことになるおそれがあります。

アルバイトやパートを多く雇っている会社であれば、その影響はかなり大きなものとなります。
また、場合によっては、不足していた分に利息などの上乗せを求められることもあります。

そうなるよりは、最低賃金が上がったことをちゃんと認識して、違反しないように支払う方が会社にとってもいいと思うのです。

なお、会社に相談しても支払われない(最低賃金を下回ったまま)の場合は、労働基準監督署に相談することをおすすめします。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

こたつの中の人
弁護士です。労働法研究者(博士号持ち・大学に在籍中)でもあります。コンサルティング会社に社内弁護士として勤務したこともあり、企業の人事・労務に関する相談を2000件以上受けてきました。企業の気持ちを理解しつつ確かな理論を示して、会社の「雇う力」と働く人の「満足」を追求する「Quality of Work」向上を支援しています。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 最賃改定の季節ですね。連合と自公の動向からすると,毎年の改定額は,これから数年間は目が離せません。

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